育鵬社教科書盗作事件



昨年11月19日に私のブログ欄で「渡部昇一先生への苦言」というタイトルの下に記事を書きました。その中で、私は、育鵬社の歴史教科書が「つくる会」が以前扶桑社から出版した「新しい歴史教科書」と酷似していること、「つくる会」の公民教科書の著者、小山常美先生や広島県の「つくる会」の支部長をしておられる主婦の方が、その酷似箇所をていねい調べておられることを書きました。と同時に酷似箇所の例をいくつかとりあげて公表いたしました。その酷似箇所を調べていた広島県「つくる会」の主婦の方が次のようなブログ記事を掲載いたしました。彼女の了承の下に転載させていただきました。

引用開始
去年の11月から年末にかけて、私は以下の文章を保守系の言論人約50名に発送しました。
育鵬社支援者25名には文章の内容が少し違うものを送りました。
小山先生が研究されている育鵬社盗作疑惑について、どうしてもこのままなかったこととして処理されることが許せないと感じたからです。「つくる会」の組織的活動ではありませんが、個人としてこのようなことをしていることを皆さまにご報告します。
この文章のほかに、参考資料として小山先生のブログと私のブログから、盗作が色濃く疑われる個所を印字したものを同封しました。

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平成23年12月 日    
前略、私は広島の長谷川真美と申します。突然お手紙をさし上げるご無礼をお許しください。私は現在「新しい歴史教科書をつくる会」の広島県支部で支部長という役目を引き受けているものです。今日は支部長という立場ではなく、一個人として、教育再生機構並びに「教科書改善の会」が支援し出来上った育鵬社の歴史教科書について、どうしてもお伝えしたいことがあり一筆申し上げます。

私共「つくる会」が主導した自由社の教科書が惨憺たる結果に終わったこと、育鵬社の公民の教科書に「愛国心」等が書かれていないことなどはとても残念なことでしたが、以下にお知らせいたしますように、育鵬社の歴史教科書が扶桑社版(藤岡信勝代表執筆)を明らかに盗作していると認めざるを得ない事実が徐々に判明してきており、この事の方がもっと重大で残念なことだと思っています。

「つくる会」本部も早くにこのことに気がついていたようですが、採択戦の妨害になることから、採択が終るまで調査、発言を控えてきました。現在、小山常実さんがご自身のブログ(「日本国憲法」、公民教科書、歴史教科書http://tamatsunemi.at.webry.info/)で調査を続けておられます。私も事の重大さに気づき、育鵬社盗作疑惑について調べているところです。調べれば調べるほど、鳥肌が立つほどに酷似している箇所が次々と現れてきています。

八木秀次氏が代表である教育再生機構側は「つくる会」から分派脱退した折に、絶対に今までの教科書の真似をしないということを文書で約束していたはずです。また、屋山太郎氏が代表される「教科書改善の会」も、平成21年9月3日、「中学校教科書採択結果を受けて」という声明の中で、「なお、歴史教科書については全く新しい記述となり、著作権の問題が生じる恐れはありません。」と述べておられます。
しかし、目次の章立て、単元の構成、単元の表記、単元の内容は他社数社の教科書と比べてとてもよく似ていますし、現在調べている限りでも、文化史を除く本文の多数の個所の文章の酷似ぶりが明らかになっています。全く新しいはずが、どうしてこれほどそっくりになってくるのでしょう。
平成21年8月25日の裁判により、教科書の著作に関して、「つくる会」側の主張した教科書は、共同著作物ではなく、結合著作物であるとの判決がありました。つまり約八割に「つくる会」側の著作権が認められたことになります。これは単純に「つくる会」側が敗訴した裁判ではありませんでした。

私の推論ではありますが、扶桑社(藤岡信勝代表執筆)の教科書の著作権侵害とも思えるこれらのことは、おそらく育鵬社の社員が主導して勝手に行ったことではないでしょうか。版権(平成24年3月で消滅)が扶桑社にあったということで、それをリライトしても法律に違反しないと思ったのかもしれません(もちろん著作権者に許可を得てリライトするならばいいのですが)。
皆さまは、保守系の教科書がもう一つ出来たのだから、そんなに目くじらを立てなくてもいいじゃないか、或いは、中味が似ていてもそれはそれでいいことじゃないか、喧嘩せずに仲良くやればいいじゃないかとお考えかもしれません。しかしこれが「盗作」まがいのことをした結果であるとしたら、道義、道徳を重んじるはずの保守系教科書で、そのようなことが許されるのでしょうか。こんなことを見過ごせば、保守言論界が大変なことになるのではないでしょうか。私には、身内でこのようなことを見過ごして甘い顔をすることは、左翼に笑われる保守の自滅そのものになると思うのです。自浄作用の無い世界は滅びていきます。

その点ワック出版は立派でした。『歴史通』11月号では、桜井裕子さんが著作権侵害を起こし、ご本人も出版社も著作権者に対し謝罪され、そのことを公表していました。桜井さんの書かれた内容は「尊敬される日本人」の中の「佐久間 勉」でした。内容が良いものだとしても、文章を書くときのルールとして著作権があり、引用、参照、など明確にしない「手ぬき」は許されないものです。
そのうえ、自虐偏向の他社の教科書は問題外ですが、育鵬社は「南京虐殺」は「あり」との立場に立ちました。そしてご存知のように、中国語読み、韓国語読みの「ルビ」を振りました。大東亜戦争を括弧の中に閉じ込めてしまいました。近隣諸国に配慮することで、左に擦り寄っています。フジテレビという「韓国」系列に阿るテレビ会社が後ろについていることも心配の種です。

色々書きましたが、育鵬社の教科書は歴史も公民も、今までの教科書運動の成果に逆行するようなものになっています。このことは市販本を読んでいただければ誰にでも分ることです。私はやっとここまで来た教科書運動が、こんな風になったことが許せません。
子孫が育っていくこれからの日本に、真に立派な教科書を手渡して行きたいと思っています。保守陣営がもっと頑張り、日本を立て直してもらいたいと思っています。手段を間違えれば、いくら表面を取り繕っても、必ずひずみが出ます。

日本人はそういう意味で、汚い手を使わないことを良しとする国民のはずです。ただ、日本人の弱点は長いものに巻かれること、争いを好まないことなどがあり、私のこういった主張に「保守言論界にとって、あまりさわがない方がいいのでは・・・・」との反応があります。先にも言いましたが、このような不実が黙認されるようなことがあれば、保守言論界は自浄作用がないということになり、いずれはジリ貧になっていくでしょう。
私はこの件を育鵬社の支援者25名の方々に告知いたしました。今後はもっと巾を広げて告知していくことをご報告しておきます。自虐史観ではなく、日本の子供たちに、自国への愛を育むための教科書が必要だと考えておられるであろう皆様、どうか、この件を真剣にとらえ、今後どうしたらよいかお考え下さり、対処していただきますようお願い申し上げます。
なお、ご参考までに私のブログでの発表内容の一部、小山先生の文章の一部を同封致します。
最後までお読みくださり、有難うございました。
草々
引用終了

私は、このブログを読み、長谷川支部長はよくやってくれた思いました。本来ならつくる会の会員一人一人が行ってもいいことでした。そこで私は即座に彼女のブログにコメントを入れました。「よくやってくださいました。お礼申し上げます。ありがとうございました。」すると彼女の返答は、
「私はちっぽけな存在で、将棋でいえば「歩」にすぎません。 その身に応じた行動しかできませんし、効果もたいしたことではないかもしれません。 でもこのままなし崩し的に育鵬社が許されることが我慢ならないのです。」

私は、彼女のコメントに全く同意同感、私もこのままなし崩し的に育鵬社が許されることにとても我慢ができません。「つくる会」の会員の中にはそんなにめくじら立てず、育鵬社と協力して仲良くやっていた方が良いという人がいると聞いています。しかし育鵬社は、道徳的にも法的にもやってはいけないことを堂々とやっているのです。それでも目をつぶれと言うのですか。育鵬社自身の教科書にも問題があります。例えば大東亜戦争を太平洋戦争(大東亜戦争)とカッコで閉じ込め、韓国語や支那語の地名や名前は、韓国語読み、支那語読みのルビをふる。どこの国の歴史でも自国語で歴史を教えるのが常識でしょう。公民教科書には、愛国心という言葉がない。この三点は、保守陣営にとっては妥協点のない根本的問題ではないのでしょうか。これでは保守の教科書とは言えませんよ、これでどうして育鵬社と仲良く協力してやっていこうなどと言えるのですか。

育鵬社という出版社の責任もさることながら、教科書監修者6人の責任は非常に重いものがあります。その6人とは、渡部昇一(上智大学名誉教授)、伊藤隆(東大名誉教授)、渡辺利夫(拓殖大学学長)、田中英道(東北大名誉教授)、岡崎久彦(元駐タイ大使)、八木秀次(高崎経済大学教授)。彼らは、「つくる会」の教科書執筆陣よりどちらかと言えば世間的に知名度が高い、だから盗作が許されるのでしょうか。お前の書いた絵は「贋作」だと言われながら、なんら説明しようとせず、空とぼけている画家と同じことをしているようなものです。育鵬社のバックにはフジサンケイグループがある。その影響力の大きさに恐れをなしてか、保守の多くの知識人は、育鵬社も教科書執筆者も批判せず、ダンマリを決め込んでいます。このような不条理があっていいのでしょうか。その意味でも「つくる会」の広島県支部長が著名保守知識人、数十人に手紙と盗作の実態の報告書を郵送したということは、私はよくやってくれたと思うし、大歓迎するものです。

全国に所在する「つくる会」の会員たちは、祖国を思う一心での行為で、そこには私利私欲など入り込む余地がありません。逆に言えば私たち会員は、無名であるがために私利私欲で行動したくてもできない、それがために祖国への想いだけが行動の原動力なのです。ところが上記6人の教科書執筆者は違います。著名な、功成り名遂げた人たちです。それだけに私利私欲で行動できるのです。私利私欲の行動が、すべて悪いとは私は言いません。本来ならこの人たちは、思想的背景からして「つくる会」を影ながら支援するとか、積極的に支援して当然なのです。ところが彼らは、保守系教科書作成の指導権をとりたくてしょうがないのだ。それはそれで結構なことですから堂々と教科書作成にとりかかればいい話です。ところができた教科書が盗作で、しかも保守本流から外れた教科書なのです。彼らは、マスコミや自分の本の中でえらそうな事を発言したり、書いたりしていますが、実際にやっていることは汚すぎるのです。だから軽蔑するのです。この盗作教科書が今年の4月から学校の教室で使用されます。恐ろしいことです。「つくる会」本部は、人手不足、資金不足で思うように行動がとれないのはよく承知していますが、このままなにもせず黙視していいのでしょうか、なんらかの行動に訴えるべきではないでしょうか。



6 comments »

  1. 中年z より:

    育鵬社歴史教科書執筆者並びに監修者

    大津寄章三 791-3133 愛媛県伊予郡松前町昌農内443-1 松前町立岡田中学校

    渡辺利夫 112-8585 文京区小日向3-4-14拓殖大学

    伊藤隆   359-0023埼玉県所沢市東所沢和田1-47-5
    田中英道 152-0022目黒区柿の木坂1-33-11
    渡部昇一 167-0041杉並区善福寺3-29-12
    岡崎久彦 158-0086世田谷区尾山台3-12-2

    ■育鵬社の中学校歴史教科書の主な監修者

    渡部昇一 上智大学名誉教授、産経新聞「正論」メンバー、第1回「正論大賞」受賞者
    伊藤隆  東京大学名誉教授
    渡辺利夫 拓殖大学学長、産経新聞「正論」メンバー
    岡崎久彦 元駐在タイ大使、産経新聞「正論」メンバー、第11回「正論大賞」受賞者
    田中英道 東北大学名誉教授
    八木秀次 高崎経済大学教授、産経新聞「正論」メンバー、第2回「正論新風賞」受賞者
    (その他著名学者と現場の有力教員)

    ■育鵬社の中学校公民教科書の主な監修者

    渡辺利夫 拓殖大学学長、産経新聞「正論」メンバー
    川上和久 明治学院大学副学長
    中山理  麗澤大学学長
    百地章  日本大学教授、産経新聞「正論」メンバー
    石井昌浩 元拓殖大学客員教授、元東京都国立市教育長
    島田洋一 福井県立大学教授、元文部科学省教科書調査官
    磯前秀二 名城大学教授、元文部科学省教科書調査官
    八木秀次 高崎経済大学教授、産経新聞「正論」メンバー、第2回「正論新風賞」受賞者
    (その他著名学者と現場の有力教員)




    賛同者

    屋山太郎 222-0021横浜市港北区篠原北1-18-5

    石井公一郎 141-0022品川区東五反田5-2-32

    小田村四郎 108-0071港区白金台5-12-2-102

    櫻井よしこ 107-0052港区赤坂6-10-11参道上ル

    中山理  277-8654  千葉県柏市光ヶ丘2-1-1 麗澤大学学長

    飯島治 323-0032  栃木県小山市天神長1-6-36 栃木県小山第二中学校教頭

    鎌田隆  663-8107  兵庫県西宮市瓦林町4-25 甲子園学院中学校
    島田洋一 910-1142 福井県吉田郡平寺町松岡兼定島4-1-1 教授

    磯前秀二 468-0073 愛知県名古屋市天白区塩釜口1丁目501 名城大学
    教授

    金美麗  114-0023 北区滝野川7-8-9 
    JET日本語学校

    千 玄室 602-8688 京都市上京区堀川通寺之内上る
    裏千家家元

    服部幸應 101-0062 千代田区神田駿河台2-3 
    学校法人服部学園

    廣池幹堂 277-8654 千葉県柏市光ヶ丘2-1-1 モラロジー

    丸山敏秋 101-8385 千代田区三崎町3–1-10

    福井正興 102-0093 千代田区平河町2-14-3 
    日本青年会議所

    三好祐司 102-0082 千代田区一番町4相模屋第5ビル
    全日本教職員連盟

    岩崎正彌 516-8555 三重県伊勢市神田久志本町1704
    皇學館大学准教授


    笠谷和比古 610-1102 京都市西京区御陵大枝山町3-2 
    国際日本文化研究センター教授

    鍵山秀三郎 103-0002 中央区日本橋馬喰町1-4-16 馬喰町第一ビルディング
    イエローハット

     

  2. terag3 より:

    えんだんじさん

    このたびは本当に難しい問題ですね。「つくる会」の自由社の教科書の
    内容をそっくり真似したいわゆる「盗作品」が育鵬社の教科書である。

    しかも育鵬社の作成した教科書には「愛国心」という言葉が無い。
    「南京大虐殺」を一部肯定している。
    「太平洋戦争」を(大東亜戦争)という表記にしている。
    これなどは本来日本が命名した「大東亜戦争」が先に来てそのあとに
    米国が決めた(太平洋戦争)とするのが正解のはず(私見ですが)

    それにしても中年zさんの資料を見ますと実にそうそうたるメンバーが
    育鵬社に加担していますね。私の知っている有名人たちが・・・・
    伊藤隆、渡部昇一、岡崎久彦、百地章、八木秀次、屋山太郎、
    櫻井よしこ、金美麗、千 玄室、・・・・などなど・・・・・

    これだけ見ても「つくる会」は劣勢で勝ち目がないような気がします。
    しかし逆の見方をするとこれほどの有名人たちが私利私欲に走る
    というのはどういう理由からなのか?

    自由社の教科書の中身を見れば私は当然、このような教科書で
    子供たちを教育しなければならないと感じたのですが採択されず
    育鵬社の教科書が少数でしたが採択されたこと。

    日本はまだまだ自虐史観に縛られていて日本の真実の姿を子供
    たちに教えるのは元の軍国主義に戻る危険な思想であると信じて
    いる、いわゆる進歩的文化人、知識人が多数を占めているという
    ことなのでしょうか、とても残念なことだと痛感しています。

    しかしながら「つくる会」の作ったものを「育鵬社」が盗作している
    のであればそれは大問題です。
    断固、法に訴えても正義を貫くべきだと思います。
    文化人、知識人として、日本人として恥を知れと言いたいです。

  3. えんだんじ より:

    中年zさん

    貴重な情報ありがとうございます。いずれ利用させていただきます。
    それにしても随分詳しく調べたものですね。感心いたしました。
    感謝いたします。ありがとう。

  4. 中年z より:

    terag3 さん えんだんじさん
    育鵬社賛同者に名を連ねている人の大半は、無邪気な方々です。つくる会を割って出て行った改善の会の出自には無頓着なのです。
    育鵬社はフジテレビが資本提供するし、改善の会は有名人をうまく集めて相乗効果を発揮しました。事情を知らない人や、面倒なことはどうでもいいと考えている人は、名簿に名を連ねてもいいと思ったのでしょう。少し押せば気が変わることも考えられます。
    執筆者の大津寄さんは、主犯格です。監修者は教科書の中身は読んではいません。名義貸しですが、いまさら何を言っても引けないから相手にしません。
    したがって改心を求めるなら一般賛同者に手紙を書くのがいいと思います。懇切丁寧に語れば、きっと理解し不明を恥じていただけるでしょう。

  5. okusama より:

    >えんだんじさま
    私の記事をご利用いただき有難うございました。

    これだけのことをおおっぴらに言うのですから、これ(育鵬社盗作疑惑)が本当でなかったら大事ですよね。私は名誉棄損、誹謗中傷をするとんでもない主婦ということになります。ですから、是非これらのことが嘘であると思うなら、主張するなら、あちら側に訴えてもらいたいと思っています。

    今の処、金美齢さんからしか返事はありません。
    いえいえ、怪文書で、育鵬社に統一したほうがよい・・・・というのが一通来ました。

  6. えんだんじ より:

    okusamaさん

    中年zさんより住所録をいただきましたので、代表的人物にしぼって直接手紙でも書こうかなどと考えております。

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