セックス代理人(sex surrogate) の登場



結婚した若い女性が自分の子宮障害のため自分のお腹に自分の子供を宿すことができない。そのためお金を使って代理母(surrogate mother)を雇い、その代理母に自分の子供を産んでもらうことが医学的にできるようになって、一時は一大センセーションをまきおこしました。それが今では代理母(surrogate mother)を使って子供を産んでもらうことなどすっかりめずらしくなくなりました。インドは、貧乏で若い女性が沢山いる関係でしょう、代理母を一番見つけやすい国になっています。

今度はセックス代理人(sex surrogate)の登場です。詩人でジャーナリストだった故マーク・オブライエン氏は、6歳の時にポリオにかかって首は正常に動かせるが、首から下が完全にマヒ、その上重い呼吸障害のせいで、一日のほとんど「鉄の肺」と呼ばれるカプセル型、人口呼吸器の中で過ごし、口にプラスチック制のチューブを咥えて呼吸しているのだ。そのカプセル型の人口呼吸器を外して過ごせる時間が3時間ぐらい、調子が良ければ4時間ぐらいは過ごせるらしい。それでも大変な努力をして大学を卒業した。38歳の時セックス代理人の力を借りて童貞をすてる決心を神父に打ち明けた。神父も合意してくれたのでセックス代理人を自宅に招きいれた。そのセックス代理人から性交渉の手ほどきを受け、無事童貞を失い、そのセックス代理人と別れた後、新しい恋人が現れ、49歳で死ぬ。その過程をマークは、エッセイとして手記を残していた。マークのその手記に基づいて作られた映画が「セッションズ」(Sessions)です。この映画は、先週の週末から公開されています。マークが38歳の時にセックス代理人として向かいいれた女性は、シェリル・コーエングリーン。シェリルは、42歳の主婦で、中学生くらいの一人息子と夫がいる。その時彼女は、セックス代理人として13年のキャリアを持っていた。

週刊誌、「ニューズウイーク」によると、セックス代理人について次のように記載しています。
「サロゲートとセラピストたちが1971年に設立した国際プロフェッショナル・サロゲート協会(IPSA)は独自の倫理規範を有し、精神衛生の専門家から紹介された顧客を治療してきた。サロゲートになる訓練費用は100時間の授業と演習で2000ドル。顧客とのセッションは週一回の場合で期間は普通6ヵ月かそれ以上、料金は一時間当たり平均150ドル。現在IPSAで訓練を受けたセックス代理人は全米でわずか25人、ほぼ全員がカリフォルニア州在住だ。顧客の半数以上が中年のセックス未経験者で、その70%が男性です。」

私は、この映画を見てきました。いい映画だと思います。身体障害者の性に正面から取り組んだ映画は、過去にほとんどなかったと思います。セックス代理人、シェリル役をベテラン女優のヘレン・ハントが演じていますが、惜しげもなく全身ヌードをさらし、重症身障者の立場にたった、思いやりのある性交渉の手引きを迫真の演技で披露しています。彼女は第85回アカデミー賞、助演女優賞にノミネートされました。映倫(日本映画倫理委員会)の審査では、「18歳未満観覧禁止」に指定されたので、日本の映画ファンからの文句が沢山出ているらしい。私としては、映画そのものは良いかもしれませんが、若者には、映像があまりにも刺激的すぎるから18歳未満観覧禁止は、やむを得ないのではと思います。例えば、こんなシーンもあります。シェリルは、マークに自分のあそこを舐めさせようと彼の顔の前でまたを広げ、マークは一生懸命なりすぎて、窒息しそうになりあわてて顔を横にそむけ、せきこみます。アメリカでは、映画業界は、助演女優賞にノミネートしていますから映画を高く評価しています。しかし映画を見ることに関しては17歳以下の人は、保護者つきでないと見られません。イギリスでは16歳以上でなければ見ることはできません。デンマーク、スウェーデン、フランスなど制限なしです。日本では「18歳未満観覧禁止」のせいか全国で北海道と東京の二映画館だけしか公開されていません。東京はJR新宿駅東南出口徒歩3分の新宿シネマカリテです。入場者数が多いと、上映館が増えるかもしれませんが、私には想像つきません。

ウイキペディアによれば、アメリカ各地の映画祭の評判がよくマーク役を演じたジョン・ホークスが主演男優賞に、シェリル役のヘレン・ハントが助演女優賞にそれぞれノミネートされたり、受賞したりしています。私がこの映画を見た率直な感想は、セックス代理人というアイデアは良いかもしれないが、子持ち、夫持ちの主婦がやるべき仕事ではないと思います。
独身女性ならなんら制約はないが、他人に話して誇れる仕事ではないと思う。しかし重症身障者のマーク・オブライエンは、いい思いをして死んでいったことは事実です。マークが新しい恋人と会話しているとき、「俺は童貞ではないんだぞ」と彼女に言った時は、男としての自信にあふれた言葉であり、同時に恋人がセックスについて心配していやしないかという思いやりの言葉だったと思う。彼女は、その言葉を聞いて一瞬きょとんとするが、すぐに満面に笑顔を浮かべて、「あなたの秘密を教えてくれてありがとう」と言っていた。「童貞ではないんだぞ」と言った時のマークの自信にあふれた、あかるい笑顔がすばらしかった。売春婦を相手に童貞を失ったのではとうてい表れない、顔とセリフではなかったのでは?セックス代理人を一概に否定するわけにもいかず、何が良くて、何が悪いのか、難しい問題です。この映画の公開でセックス代理人という仕事がもっとアメリカ国内で一般化していくのかどうか興味がわきますね。

4 comments »

  1. terag3 より:

    えんだんじさん

    へぇ~、そんなことがアメリカで実際に行われているのですか、驚きました!
    身体障害者の男女たちの性については、確かに社会で何とか解決してあげねば
    ならないことは分かりますが、それを職業として従事する人々は、えんだんじさん
    が仰るように>子持ち、夫持ちの主婦がやるべき仕事ではないと思います・・・に
    尽きると思います。

    このたびのお話では、顧客は70%が男性の障害者だそうですが、あとの30%は
    女性の障害者だということでしょうか?
    しからば、その女性の障害者には、男性のセックス代理人が対応するということ
    ですよね?その男性の代理人と女性の障害者とはどのように行われているのか
    を知りたくなりました。

     興味本位の関心事で申し訳ありませんが、今まで聞いたこともない、いわゆる
    衝撃的な話題でしたので追求してみたくなりました。お許し下さい。

  2. てつよう より:

    セックス代理人なる言葉、初めて知りましたが、日本の風俗業界には障害者専門、もしくは障碍者でさえも厭わない風俗嬢たちが存在するそうです。「従軍慰安婦」などというありもしないものが昨今話題になりますが、前線で明日死ぬかもしれない兵隊さんたちに安らぎを与えた戦時中の慰安婦たちと同じく、障害者たちに性の喜びを与える現代の風俗嬢たちに私は何か崇高な精神を感じます。

  3. えんだんじ より:

    terag3さん

    男のセックス代理人がいるのかどうかわかりません。私の推測ですがたぶんいないのでは
    と思っています。

  4. えんだんじ より:

    てつようさん

    風俗嬢の中にはきっとそういう人がいると思います。表沙汰にしたくないだけに公表されないのではと
    思っています。

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